漂流
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  • 11/22/2025

    そっと、やわこく

    森碧輝/奈辺

    赤、黒、橙。水面で揺らめく金魚たちをそっと掬うように、ポイを水面に、斜めに、差し込む。ようにケーキを切った彼女のことを思い出す。


    教会...

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  • 11/22/2025

    滅相も無い

    輝輔

    東の国の果てにはかつての私の父だったものが、いるらしかった

    ままあ、m ママの、ショートケーキの体を大きく抱きしめて、大きなことを言って、大き...

  • 11/22/2025

    くいあいめ

    好里

    あなたが大切だよ 私は毎朝顔を洗って歯を磨いて寝床を整えて朝食をとるけど あなたが大切だよ 私は毎晩身体を洗って歯を磨いて部屋を片付けて早い時間に眠るけど...

  • 11/22/2025

    樹海計画

    内田ウ3

    ストストロンンググゼロと 睡眠薬が

    おとといの青椒肉絲が

    つくえに置きっぱなしなんだよ どうなっっ

    てん っんだよ...

  • 11/22/2025

    しどけなき眠り

    辻井紀代彦

    「直治は」

     妻の声はベッドから醸される湿気と共に背中へと追いすがった。水を口にふくんでから喉を少し鳴らして応えようとする...

  • 11/21/2025

    半永久的に消えていくきみへ

    二枚貝

    秋風がわたしを横切って、ちょっとさみしい。露天風呂に浸かっている時の抗うことのできないさみしさのことを思い出す。皮膚の表面に付着した水滴の蒸発にともなって...

  • 11/14/2025

    鳴き声は途絶えない

    山羊解

    体温をあたえるために、呼ばれるなまえを、日陰になって、から、そのときだけ、認識できない、からだ、よ、よく、並んだ家の、岸でないている、それから、爪先を撫で...

  • 11/14/2025

    きみの嘘/うそ

    山羊解

    永遠、のこと

    ひらりと落ちていく

    きみは、だれ

    、?

    孕んだことばに

    手を伸ばす

  • 11/9/2025

    かなしみの掌編Ⅰ・Ⅱ

    辻井紀代彦

    Ⅰ 蛇の卵

     夏の暮れのある日、英二は乗り込んだバスの車窓から、一棟の鉄塔を眺めて心を奪われた。住宅街を抜けていくバスが小川の橋の上を渡っ...

  • 8/11/2025

    夏に詠める歌三首

    辻井紀代彦




    すず風に揺すり立つ波池水もさやかなりけり柳若草



  • 6/11/2025

    視点

    林やは

    腐敗した爪を、舐めることに、似て、その焦点は、あまい、あまがみ、しずまり、きく、それは、ふれる、ということだよ、死のにおい、体が熱いから、あなたは砂浜にい...

  • 5/8/2025

    あたたかい

    林やは

    はやくなっていく逆光が、あなたの胸のなかから飛びでて、血飛沫みたいだね、と、いったあの子から消えていく、そう纏う、だって、みがかれた鏡みたいにはなりなくな...

  • 4/5/2025

    浮く

    林やは

    透明な、なにもないような、あなたの世界には、翅のある、いきものがいて、待つことがとくいだから、装いを、やわらかくしている、そばにいたい、と、ぼくは云った、...

  • 3/27/2025

    窓際

    中原りんかく

    もしもね、わたしが犬になっても愛していてほしいの、もうすぐわたし、意識があたらしいおもさをつつんで、ちょうど一匹の犬みたいになるの。

    犬みたい...

  • 3/11/2025

    春の日のうた

    辻井紀代彦


    なんてうららかな春の日に

    何億光年の宇宙にたたずむ

    小さな星のおもてがぴくりと揺らげば

    僕たちは死なないはずが...

  • 7/21/2024

    この不仕合わせな安らぎ

    辻井紀代彦

    一 あさましき世界

     泣いてはいけない。泣くのは今の生活を嫌がっているからだ。笑ってはいけない。笑うのは昔の生活を懐かしんでいるからだ。<...

  • 7/21/2024

    猫の微笑み

    辻井紀代彦

    どこにもゆかれない
    あたたかさのなか
    手向ける
    窓の向こうのひとびとへ
    身じろぎもせぬ
    まなこ

     ...

  • 7/21/2024

    漂流

    中原りんかく

    古い仕事を思い出した

    底のない水面から

    暗い水を掬う

    ...

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